情報ネットワーク研究室 小川猛志 教授

情報環境学部の先生の研究内容や知られざる素顔をご紹介する情環の先生。興味のあるコースやテーマやキーワードで「情環の先生」と出会おう!
次世代
アーキテクチャの
インターネットを開発
情報ネットワーク研究室
小川 猛志 教授
ネットワーク・コンピュータ工学コース
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現在のインターネットを超えるネットワーク

現在のインターネットは、コネクションレスという、誰とでも非常に簡単にデータを交換できる性善説に基づいた概念で構成されています。しかし、社会のインフラとして構成された現在では、セキュリティ問題が顕在化し、本来目指していた自由な通信が阻害される面も出てきています。小川研究室では、あらゆる「ひと」「もの」「情報」を安心・安全・簡単に繋げられる、次世代のネットワーク方式とサービスを研究しています。

小川先生研究pickup

安全と安心をもたらす「受付機能」

悪意者からの不正アクセスや、通信相手の成りすましなどの犯罪を防ぐために、利用者の意図に応じて、信頼できる通信相手だけをメンバーとする「パーソナルなインターネット」。ISPや通信キャリアにこのような受付機能を付加することで、本来のインターネットが目指していたコネクションレスで自由な通信が可能となり、さらにメンバーを動的に制御することで、現在の専用線よりも経済的で安全と安心をもたらす「次世代のインターネット」です。

※ ISP:インターネットサービスプロバイダ。

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あらゆる端末をつなぐマシンネットワーク

今後は、端末に搭載されたプログラムで操作されるロースペックなマシン端末が爆発的に普及し、膨大な環境情報や生体情報を収集してビッグデータとして活用する時代になります。端末内のアルゴリズムで動作し、人口の100倍以上にもなるそれらマシン端末を経済的にインターネットに収容するためには、従来にないネットワーク技術が必要になります。災害や危険監視等で一斉に何万もの端末が通信するイベントに対応した、マシン間通信に適した輻輳制御方法※1や公平制御方法※2、通信データ集約方法などの開発にも取り組んでいます。

※1 輻輳(ふくそう)制御:パケットの転送レートなどのトラフィックを制御し、ネットワークの容量超過によるスループット低下などの異常を防止する方式。
※2 公平制御:少数の特定ユーザーがネットワークの帯域を占有しないように制御する方式。


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先生へのQ&A

この研究をしようと思ったきっかけは何ですか?
現状のアーキテクチャの元では、今後インターネットが破綻する可能性があるという危機感です。そこで、現状のインターネット方式の基本原則(公開されたグローバルアドレスに基づく通信)を逆説的に見直すことで、「通信の自由」を取り戻したいと考えました。マシンネットワークでの無線アクセス技術では、5G※1やポスト802.11ac※2などの高速広帯域を追求する無線方式とは異なり、経済性と信頼性を追求するアクセス技術が必要だと考えました。
 
※1 5G:次世代の移動通信システム。2010年と比較して、1000倍以上に増大するトラフィックに応えるネットワークシステム。
※2 802.11ac:イーサネット接続が不要なギガビット無線LAN通信方式。
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研究の魅力を教えてください。
最終目標は、将来まで見通して、しかも常識に反した発想を含む、冒険に近い部分もあるものです。一長一短にすべて完成するものではありません。学生は夢のある研究を進めながら、同時に、通信技術の基礎修得、先進技術の理解、研究を立ち上げて完結させるOn The Jobでのトレーニングといった,社会で役に立つ、堅実な知識と経験を身につけることができます。
今後の夢や展望を教えてください。
「次世代インターネット方式」は、第三者による不正アクセスや成りすまし等の攻撃を、原理的に不可能とすることを目指しています。また「マシンネットワーク」では有限な無線リソースを効率よく使用することで、膨大な数のマシン端末もインターネットに接続可能とすることを目指しています。これらの技術が確立していくことで、ありとあらゆる端末がつながる、未来のインターネットが構築できると確信して、日々の研究に取り組んでいます。

研究室をのぞいてみよう!

幅広い経験を積むことが大事

先端のネットワーク技術に広く関心をもつ学生が集まる小川研究室は、ゼミの範囲に留まらず、自主的に技術調査や検討を進めて、私や他のメンバーに展開してくれる活気にあふれています。技術以外についても幅広い社会経験を推奨しており、それぞれ、サークル活動やス
ポーツ、バイトやボランティアなど活発に取り組んでます。それは、幅広い経験を積むことで、思わぬ気づきを得られるからです。

受験生へのメッセージ

既存技術を超える時代の改革者を目指そう

技術を創出し社会に貢献する楽しさを一緒に体験しましょう。そのためには、先達が積み上げたインターネットや電話網の通信技術を吸収し、IoT※1、M2M※2、SDN※3、OpenFlow※4、Big Data※5など最新の技術を身につけることが大切です。小川研究室では、自ら課題を発見して解決し、発表する経験を通して、苦労を分けあい,楽しさとと達成感を味わうことができます。それは、着実な成果を予定通り出すマネジメントスキル、チームワークを身につけることでもあるのです。
 
※1 IoT (Internet of Things):パソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットにそれ以外の様々な"モノ"を接続する技術。
※2 M2M (Machine to Machine):コンピュータや通信装置などの情報機器以外の機械にセンサーや処理装置、通信装置などが通信ネットワークを介して互いに情報をやり取りして、高度な制御や動作を行うこと。
※3 SDN (Software-Defined Network):ネットワークの構成、機能、性能などをソフトウェアの操作だけで設定、変更できるプログラミングできるようにする考え方。
※4 OpenFlow:ネットワーク機器やソフトウェア・スイッチ、ソフトウェア・ルータなどをまとめて制御するプロトコル(通信手順)。
※5 Big Data:ある課題解決の解析や可視化などを目的として収集される、巨大で複雑なデータ集合の集積物。

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