情報安全技術研究室 八槇 博史 教授

情報環境学部の先生の研究内容や知られざる素顔をご紹介する情環の先生。興味のあるコースやテーマやキーワードで「情環の先生」と出会おう!
ボランティアの
無線LANを
安心して使える
社会づくり
情報安全技術研究室
八槇 博史 教授
ネットワーク・コンピュータ工学コース
八槇博史1
「この公衆無線LANは使って大丈夫なの?」に応える!

モバイルデバイスが発達し、公衆無線LANにアクセスすれば、いつでもどこでもネットワークに接続できる便利な社会になりました。こうした公衆無線LAN には携帯電話会社に加入すればアクセスできるほか、大学などの施設が設けているものや、ボランティア的に開設されたものなどを利用することができます。し かし、もし悪意のある人が開設したものだと、通信内容を傍受されるなどのリスクがあります。一方、提供する側も、悪意ある人に使わせると不正アクセスに加 担することになりかねません。公衆無線LANは、利用者はその場所に行って初めてその存在を知ることになるわけで、互いに「この公衆無線LANは使って大 丈夫なのか?」「この人に使わせていいのか?」を判断する「トラスト(信用)」と呼ばれる問題が発生します。公衆無線LANをより便利に安心して使うよう にするためには、このトラスト問題を解決していく必要があり、情報安全技術研究室はこのことをテーマに研究を進めています。

八槇博史2

外国人旅行者に不便なニッポン!

現在の日本は、無料もしくは安価に使える公衆無線LAN環境が乏しく、外国人旅行者に不便を強いています。東京オリンピックの開催が決定したことを受け、携帯電話会社などはこうした状況の改善に着手していますが、トラスト問題をどうクリアするかは大きな検討テーマとなるでしょう。また、東日本大震災では、災害時の通信環境をどう確保するかという問題がクローズアップされました。ボランティア的な公衆無線LANが大きな力になると期待されていますが、ここにおいてもトラスト問題がかかわります。情報セキュリティにおいては、厳重であればあるほど使いにくくなるという矛盾があります。同研究室では、その最適なあり方を経済学や法学、心理学なども援用して追求していくというダイナミックな研究が展開されていきます。

八槇博史3

先生へのQ&A

この研究をしようと思ったきっかけは何ですか?
私は学生時代、人工知能を研究していました。そこそこ賢い人工知能のマシンをつないで一つの大きな力を発揮させる「マルチエージェント」と呼ばれるシステ ムを研究していたのですが、その際に通信ネットワークに興味を持ったのです。名古屋大学に移った際に全学構内の無線LANを扱うことになり、研究対象とし て知見を深めていきました。その中で、ゲストとして大学に訪れる人にどうすれば面倒なことがないようにアカウントを発行できるか、「地域に開かれた大学」 としてどこまで無線LANをオープンにするのか、といった認証の問題に直面したのです。この問題は社会的な要請も高いことから、研究テーマとすることにし ました。
八槇博史4
研究の魅力を教えてください。
情報セキュリティ分野は、ネットワーク、認証、暗号化、分散システムといった情報システム構築の中核的な技術を扱います。これらは情報システムやネット ワーク構築といったITに関わるあらゆる分野で不可欠の技術であり、最大の成長セクターといわれるIT関連分野の随所で活用できるものです。今やITに無 縁な業種・業界はありません。情報安全技術研究室での学びは、IT業界をはじめ、広範な業界への就職にも大いに役立つといえるでしょう。
八槇博史5

研究室をのぞいてみよう!

実際にハッキングをしてみてそれを防ぐための方法を考える

2014 年度は15人ほどの学生数となります。初めて情報セキュリティを学ぶ学生が理解しやすいよう、まず大学のネットワーク環境にハッキング行為をしてみるとい う実践的な学習も行っています。そこから、どうすればこうした問題を防げるのかといった方法論につなげて研究を進めていきます。大学院レベルでは、例えば セキュリティ技術と規制法をどう組み合わせればベターな運用ができるか、といった研究も行う予定です。

受験生・在学生へのメッセージ

セキュリティの技術だけでなく広範な分野を学ぶ覚悟を

最近流行っているせいか、「セキュリティをやりたい」という学生が急増しています。それはそれで好ましいのですが、セキュリティとは暗号化や通信などの技術だけで成立しているわけではなく、法律や経済・社会、人間心理など非常に広範な分野の要素で成り立っています。したがって、こうした構成分野をすべて学ぶ必要があるのです。できれば、そうした覚悟を持って学びに来てほしいと思います。

八槇博史6

もっとこの研究が知りたい!